
ベクトル、スカラーって何?
Root / 2026. 1. 16 / 線形代数(1章, 1節)
前提知識
- 「xy座標」が何かわかること。
導入
線形代数の主人公「ベクトル」を、可視化を通じて直感的に理解します。
その良き相棒である「スカラー」との違いもマスターして、最初の基礎を固めよう。
扱う内容
- ベクトルとは、「空間の中の矢印」であること
- ベクトルの2つのとらえ方
- 成分
- 「大きさ」と「向き」の分解
- スカラーとの違い
- 文字で書くときのルール
1 – ベクトルって何?
ベクトルを使っていくうちに覚えていけるので、1回読んでベクトルのイメージを固めるだけでOK!
1.1 – ベクトルは矢印!
一言で言うと、「座標空間の中の矢印」です。
平行移動すれば重なる矢印は、位置にかかわらず「同じベクトル」であると考えます。
向きや大きさ、いる次元が違う矢印は、同じものではないので注意!

この「矢印」には2つのとらえ方があります。
- それぞれの座標軸方向への分解によるとらえ方
- 「長さ」と「向き」への分解によるとらえ方
ベクトルが空間内の矢印であると可視化して考えれば、どっちのとらえ方も当たり前に思えるはず!
ささっと理解しちゃいましょう!
1.2 – とらえ方 (1)
まずは1つ目のベクトルのとらえ方です。
矢印を「それぞれの座標軸方向への符号付きの大きさ」に分解して、ベクトルをとらえます。
分解したものをベクトルの「成分」といい、縦に並べて表現します。
図を見れば一発で理解できるので、一旦図を見よう!

- 2次元の場合: 平面上の矢印(数字が2つ)
- 3次元の場合: 空間上の矢印(数字が3つ)
ベクトルの計算するときは、基本的に図形上の矢印ではなく、成分として表されます。
$$\begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix} \qquad \begin{pmatrix} 1 \\-5 \\2 \end{pmatrix} $$
しかし、成分だけが表示されていても、頭の中で可視化して「空間の中の矢印」だと図形的に理解することが重要です。
ちなみに、ここまでベクトルは「どの場所に移動しても同じ」と伝えてきました。
しかし、基本的には「矢印のはじまる点」を座標軸の原点に合わせて、そのベクトルを考えます。
なぜなら、そうすれば「矢印」の指す点の座標と「矢印の成分」が一致するからです。(分析がシンプルになる!)
でも、これは絶対的なルールじゃないので、「へー」って感じで知っておけば大丈夫!
1.3 – 数字の並べ方の補足
人によっては、「ベクトル」は成分を横に並べて表すと習ったことがあるかもしれないので、ここで補足します。
ベクトルの成分の並べ方には「縦」と「横」の2つのスタイルがあります。
しかし、「縦型」で数字を並べる方が圧倒的に主流です。

1.4 – とらえ方 (2)
2つ目のベクトルのとらえ方です。
矢印を「長さ」と「向き」に分解して、ベクトルをとらえます。
向きとして、表したいベクトルと同じ向きの、長さが1のベクトルを使用します。
こっちも図を見れば簡単!

1.5 – 4次元以上?
先ほど、「ベクトルは基本的には、図形上の矢印ではなく成分として表されます。」と説明しました。
なぜなら、線形代数では、4次元以上のベクトルも考えるからです。
4次元以上のベクトルは、図として「矢印」で描くことができません。
しかし、成分によって4次元以上のベクトルを表すことができます。
$$\begin{pmatrix} 1 \\ 2 \\ 1 \\ 4 \end{pmatrix} \qquad \begin{pmatrix} 1 \\-5 \\2 \\3 \\0 \end{pmatrix} $$
でも!頭の中では3次元のベクトルと同じように「矢印のイメージ」で考えてください!
「具体的な計算は成分」、「理解は矢印」と覚えておきましょう。
線形代数を学んでいく上で慣れていくので、大丈夫!
1.6 – ベクトルのとらえ方まとめ
ベクトルの「とらえ方」
ベクトルは、空間上の矢印(何次元でも!)
- それぞれの座標軸方向への分解によるとらえ方(成分)
- 「長さ」と「向き」への分解によるとらえ方
イメージして理解することが超重要。
線形代数のコツは、「矢印」も「成分」も同時に頭に浮かぶようにすることです!
ベクトルの計算するときは、基本的に図形上の矢印ではなく、成分として表されることを忘れずに!
次回の授業でベクトルの計算を学びます。
その計算を使えば、これらのベクトルのとらえ方をもっと整理して考えることができます。お楽しみに!
2 – スカラーって何?
ベクトルのペアになる存在として、「スカラー」 という言葉もよく出てきます。
スカラーは要するに「ただの数字(大きさだけを表す量)」のことです。
スカラーとベクトルを見比べてみて、違いを理解しましょう。
- スカラー:「大きさ」だけ(「向き」がない )
- 身長、テストの点数、気温、ベクトルの大きさなど
- ベクトル:「大きさ」と「向き」がある
- 速度、ある点における風、加える力など

線形代数においては、スカラーはベクトルを拡大したり、縮小したりするものとして出てきます。
「ベクトルのスケールを変えるもの=スカラー」と考えましょう。(次回の授業で説明します。)
3 – ベクトルとスカラーの表記
数学では、数字を x や a などの「文字」で置くことがありますよね。
同様にスカラーもベクトルも文字で表すことがあります。
ここで注意なのですが、ベクトルを表す文字は、その文字が表すものがベクトルだってわかりやすいように、「特別な文字」で置くことが多いです。
標準的な線形代数やVisuChainでは、以下のように表記します。
- 教科書やWebサイトだと、太字でおきます。(例:a, b)
- 手書きの時は、アルファベットに線を1本加えた感じの文字でおきます。

人によっては、ベクトルを文字の上に矢印を載せて表す人もいます。
手書きでの文字は人によって違うので、なんとなくで大丈夫!!!!!
自分で書くときは、自分が慣れ親しんだ表記で書きましょう!
あくまで書き方だしね。
表記は、これから線形代数を学んでいく上で慣れていくので、頑張って覚える必要はありません。
それに対して、スカラーは普通の文字で書きます。
まとめます。基本的な表記は以下のとおりです。
- ベクトル
- 教科書やWebサイト:太字
- 手書きの時:アルファベットに線を1本加えた感じの文字
- スカラー:普通の文字
自分が書く時も読むときも、その文字が「ベクトル」なのか「スカラー」なのかを意識してください。
ちなみにですが、この手書きの時の「アルファベットに線を1本加えた感じの文字」のことを、黒板文字といいます。
黒板で、チョークで太文字を毎回書くのが大変なので、太字の代わりに1本加えるようになったんですね。。。
毎回太字で表したいけど、手書きでは大変だから線を一本加えると覚えておきましょう。
理解チェック
要点
ベクトル:空間上の矢印
とらえ方(2通り):成分、「長さ」と「向き」
ベクトルは基本的には、成分として表されることを忘れずに!
スカラー:ただの数字(大きさだけを表す量)
- ベクトル
- 教科書やWebサイト:太字で表記
- 手書きの時:アルファベットに線を1本加えた感じの文字で表記
- スカラー:普通の文字で表記
Mini Quiz
お疲れ様
お疲れ様です!簡単だったでしょ?
ベクトルはただの矢印。
これからの授業もこんな感じで、「イメージ」を大切に進めていきます。
練習問題もあるので、さらに基礎を定着させたい人はチェックしよう! >>練習問題(現在作成中)
次回は「ベクトル」と「スカラー」の計算について、数式だけでなく、その直感的な図の理解を説明します。
「わかりやすかった!」「ベクトル簡単すぎ!」と思った方は、ぜひコメントで教えてください!
また、「もっとこうしてほしい」という改善案も大歓迎です。
私も皆さんと同じ学習者の一人です。共に学んでいきましょう!
誤植やバグを見つけた場合も、コメントやコンタクトフォームからご連絡いただけると嬉しいです。
