
ベクトルとスカラーの計算!
Root / 2026. 1. 17 / 線形代数(1章, 2節)
前提知識
- xy座標が理解できること
- ベクトルは「空間上の矢印」であること
- ベクトルを成分で表せること
- スカラーはただの数であること
導入
スカラーとベクトルをかけたり、ベクトルとベクトルを足したりできます。
ベクトルが出てくるときは、「矢印」と「成分」を同時に思い浮かべることが重要です。
計算においても、この2つをセットで考えましょう
また、スカラーとベクトルの文字での表記が違うことも忘れずに!
では、はじめよう!
扱う内容
- スカラー倍の計算と意味
- ベクトルの和・差の計算と意味
- ベクトルの長さ
- 線型結合って何?
- ベクトルのとらえ方を再度考える。
1 – スカラー × ベクトル
「スカラー」とは、普通の「数」のことでしたね。
まずは「成分」での表示における計算を理解し、その後に背後にある「矢印」での意味を理解しましょう。
(ここで考えるスカラーは実数とします。要は普通の数のこと!)
「成分」における計算
成分それぞれを「スカラー」でかけるだけです。
$$ 2 \times \begin{pmatrix} 1 \\ 3 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 2 \times 1 \\ 2 \times 3 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 2 \\ 6 \end{pmatrix} $$
つまり、「スカラー × ベクトル」の結果は「ベクトル」。
「矢印」での意味
向きはそのままで、ベクトルの長さを変えます。
スカラーがマイナスの場合は、逆方向に長さを伸ばします。

ちなみに、成分が全部0のベクトルを「ゼロベクトル」と言います。
長さが0で、向きがない矢印です。
0とベクトルをかけると、どんなベクトルもゼロベクトルになります。
0ベクトルはよく使うので、文字として0と表します。(ベクトルなので太文字!)
2 – ベクトルの足し算、引き算
ベクトルは「空間上の矢印」であり、
先ほどと同様に「成分」での表示における計算を理解し、その後に背後にある「矢印」での意味を理解しましょう。
2.1 – ベクトルの足し算
「成分」における計算
同じ位置の成分同士を足すだけです。
$$ \begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} 3 \\ 1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1+3 \\ 2+1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 4 \\ 3 \end{pmatrix} $$
つまり、「ベクトルの足し算」の結果は「ベクトル」。
「矢印」での意味
一言で言うと、ベクトルを繋ぎ合わせてできたベクトルが計算結果です。

ちなみに、ベクトルの足す順番は関係ありません。
これも図を見れば当たり前だね!
2.2 – ベクトルの引き算
「成分」における計算
同じ位置の成分同士を引くだけです。
$$ \begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix} – \begin{pmatrix} 3 \\ 1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1-3 \\ 2-1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix} $$
つまり、「ベクトルの引き算」の結果は「ベクトル」。
「矢印」での意味
(考え方1)マイナスのベクトルを考えて、それを足すと考える方法です。
これは、a – b = a + (-b) として、足し算の計算法を使うイメージです。

(考え方2)「2つ目のベクトルにどんなベクトルを足したら、1つ目のベクトルになるか」と考える方法です。
これは a – b = ? ではなく、a = b + ? を解くイメージです。
始点(矢印がはじまる点)をそろえて考えることに注意!

(考え方2)では、引き算の結果が「2つ目から1つ目に向かうベクトル」になります。
実際に引き算を考えるときには、「2つ目から1つ目に向かうベクトル」を考えます。
3 – 計算まとめ
ここまでの計算をまとめます。
ベクトルの計算の「とらえ方」
- スカラー × ベクトル:矢印を伸ばしたり、縮めたり
- ベクトル + ベクトル:矢印を繋ぎ合わせる
- ベクトル – ベクトル:始点をそろえた時の、2つ目から1つ目に向かう矢印
全ての計算結果は「ベクトル」になっていました。
線形代数では、これからもっといろんな計算が出てきます。
その都度、「計算の結果が何になるのか」、「空間の中で何をしているのか」を意識しましょう。
ちなみに、3次元よりも高い次元にあるベクトルでの計算も、考え方は今までと全く同じです。
- 成分での計算方法も同じ。
- ベクトルの計算が空間の中で何をしているのかという、「矢印」でのイメージも同じ。
要は、高次元のベクトルも、3次元以下のベクトルのように計算できるし、イメージもできる!
できない計算もあるので注意!
「スカラー + ベクトル」はできません。
でもしっかり、スカラーは「普通の数」、ベクトルは「矢印」って考えれば、その計算ができないのは当たり前ですよね。
ベクトル同士の掛け算(っぽいもの)は次回扱いますが、今回教えた「スカラー × ベクトル」や「ベクトルの足し算、引き算」とはちょっと違う感じで計算するので注意しよう!
4 – ベクトルの長さ
ベクトルの長さは、文字に絶対値をつける感じで \( |\mathbf{a}| \) と表現します。
「矢印」をイメージして、例で計算してみましょう。(三平方の定理を使う!)
$$\mathbf{a} = \begin{pmatrix} 3 \\ 4 \end{pmatrix}$$
このベクトルの長さは以下のように計算できます。
$$|\mathbf{a}| = \sqrt{3^2 + 4^2} = \sqrt{9 + 16} = \sqrt{25} = 5$$

簡単!
ベクトルの長さは、スカラーになっていることに注意しましょう。
5 – 線形結合って何?
いくつかのベクトルを、「何倍か」してから「足し合わせた」ものを線形結合といいます。
名前は強そうだけど、中身は超簡単です。
具体例を見てみましょう。
$$ \boldsymbol{v} = 2\boldsymbol{a} + 3\boldsymbol{b} $$
ベクトル a を 2倍、ベクトル b を 3倍して、足し合わせたものがベクトル v 、ということを表す数式です。
「矢印」でこの数式をイメージしてみましょう!

でも、この「矢印」でのイメージは、今までの「スカラー × ベクトル」、「ベクトルの足し算、引き算」を理解してれば当たり前!
線形結合は、線形代数を学んでいく中で、何度も何度も出てきます。
でも、そんなたくさん出てくる線形結合を理解したあなたはもう最強だね。
ちなみにですが、括弧を外すのも普通にできます。
$$ 2(\boldsymbol{a} + \boldsymbol{b}) = 2\boldsymbol{a} + 2\boldsymbol{b} $$
6 – ベクトルのとらえ方
ベクトルという「矢印」のとらえ方は、次の2通りがあります。
ベクトルの「とらえ方」
- それぞれの座標軸方向への分解によるとらえ方(成分)
- 「長さ」と「向き」への分解によるとらえ方
これらを今回覚えたスカラーとベクトルの計算で再度、整理して理解しましょう!
ここで、とらえたいベクトルを \( \boldsymbol{a}\) としましょう。
6.1 – 座標軸方向への分解
座標軸の1目盛り分のベクトルを、それぞれ \( \boldsymbol{e_1}, \boldsymbol{e_2} \) とします。
すると、ベクトル \( \boldsymbol{a}\) は \( \boldsymbol{e_1}, \boldsymbol{e_2} \) の線形結合で表されていて、それぞれにかけられているスカラーが成分だったことがわかります。
図を見れば一発!

6.2 -「長さ」と「向き」の分解
ベクトルと向きが同じで、長さ1のベクトルを \( \mathbf{u} \) とします。
ここで一応注意(復習)なのですが、 \( |\mathbf{a}| \) はスカラーです。

6.3 – ベクトルのとらえ方まとめ
まとめます。
ベクトルの「とらえ方」
それぞれの座標軸方向への分解によるとらえ方
(ベクトル \(\mathbf{a}\) の成分は \(\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}\) とする。)
$$\boldsymbol{a} = x\boldsymbol{e}_1 + y\boldsymbol{e}_2$$
「長さ」と「向き」への分解によるとらえ方
$$\boldsymbol{a} = |\boldsymbol{a}|\times \boldsymbol{u}$$
理解チェック
要点
ベクトルの計算も、「何をしているのか」を「矢印」でイメージすることが重要。
- スカラー × ベクトル:矢印を伸ばしたり、縮めたり
- ベクトル + ベクトル:矢印を繋ぎ合わせる
- ベクトル – ベクトル:始点をそろえた時の、2つ目から1つ目に向かう矢印
全部成分による計算は簡単!
ベクトルの長さ、線型結合、ベクトルのとらえ方の整理もささっと扱いました。
Mini Quiz
お疲れ様
成分で計算するだけではなく、「矢印」も合わせてイメージすることで、ベクトルとスカラーの計算の本質を捉えることができます!
やっぱり「イメージ」が重要!
「実際に手を動かして計算したい!」って人は、練習問題をチェックしてみてください。>>練習問題(作成中)
次回は、ベクトル同士のかけ算(?)である、「内積」を学びます。
そのときも、ベクトルを成分だけで考えるのではなく、「矢印」であることを意識することが大事!
「わかりやすかった!」「ベクトルの計算簡単すぎ!」と思った方は、ぜひコメントで教えてください!
また、「もっとこうしてほしい」という改善案も大歓迎です。
私も皆さんと同じ学習者の一人です。共に学んでいきましょう!
誤植やバグを見つけた場合も、コメントやコンタクトフォームからご連絡いただけると嬉しいです。
